2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

文献要約:宇佐美毅(1997)坪内逍遥における〈詩歌〉と〈小説〉 野山嘉正(編)『詩う作家たち:詩と小説のあいだ』 至文堂 p.30-41(前編)

宇佐美毅は現・中央大学教授(本論執筆時は助教授)。 第一の研究テーマは明治期小説の表現研究。第二テーマは現代小説の研究。 www.chuo-u.ac.jp 第一章では逍遥の『小説真髄』が「美術」の目的を明示し、その中で「小説」・「詩歌」いずれもの改良を射程に…

文献要約:海野圭介(2012)「読み」の歴史:中世における古今和歌集の読み解きをめぐって ハルオ・シラネ、兼築信行、田渕句美子、陣野英則(編)『世界へひらく和歌:言語・共同体・ジェンダー』 勉誠出版 p.133-140

『古今和歌集』を読み手の受容意識の歴史から見た論文。統一的な解釈が存在しないところから始まり、密教、宋学を基盤とした寓意的な読解がなされていった経緯を明らかにする。寓意的な読解は、本来的に非宗教テクストであり、何らかの教えを説くことを意図…